プログラム
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9.パネルディスカッション
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下部直腸癌に対する肛門括約筋温存手術の適応と限界 近年,下部直腸癌に対して,内括約筋の切除を主とする肛門括約筋温存手術により直腸切断術の回避が可能とする手技を推奨する意見を散見する.しかし本術式の長期成績は未だ不明な点もあり,適応を慎重に検討する必要がある.術後に頻便,便意促迫,失禁などの排便障害が併発することも少なくはない.種々の再建法の導入により排便機能の改善が図られているとの報告もあるが,患者のQOLについての客観的な評価については明らかなっているとはいえない.そこで,本術式について,腫瘍学的妥当性に加え術後排便機能など患者QOLの成績を提示し,当該術式の妥当性を論議していただきたい. |
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食道・胃の早期癌の治療法選択の根拠と実際 近年,内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の開発は,これまで占居部位,腫瘍の大きさ,潰瘍合併などのために制限を受けてきた内視鏡的切除に適応拡大をもたらした.早期胃癌においては2cm以下で潰瘍をともなわなければ未分化型であってもリンパ節転移を認めずESDの適応となりうるとの意見も聞かれている.一方,胃癌治療ガイドラインでは,鏡視下手術は現在も臨床研究として位置づけされていて,highvolumeceterを主体に,術者・第一助手か習熟してさえいると,進行食道癌や進行胃癌へと適応拡大も成されている.そこで,上部消化管の早期癌に対する治療方針とその根拠と実際,さらにはその問題点を浮き彫りにし今後の展開に示唆をいただきたい. |
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こうする、こうしてほしい消化器外科領域の教育体制 −肝・胆・膵− 日本消化器外科学会が公示している消化器外科専門医修練カリキュラムでは,専門医養成のための到達目標を基礎的知識,診療技術,手術技術に関し詳細に定めている,中心的存在はもちろん手術技術についてである.肝胆膵領域では,胆嚢摘出術など比較的平易な技術から,膵頭十二指腸切除,肝切除など高度な技術が要求されるものまでさまざま存在する.また解剖,病態生理が複雑であるものが多く含まれる.一般病院では管腔臓器より胆膵領域の疾患数がはるかに少ないため,同領域の手術を扱う頻度は少ない.消化器外科専門医養成について,どこまで教育でき,どこまで教育されうるのか,その在り方についても施設間で異なるものと思われる.指導する立場,指導さる立場から手術指導の現状を報告いただき,今後の在り方について,要望・理念を明確にしていただくべく討論していただきたい. |
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最新の消化器外科領域の術後障害に対する対策 術後障害が軽度であれば,生体の恒常性維持機構により,時間経過とともに生体反応の正常化を生じ,生命維持的な意味では問題にはならぬことが多い.しかし,長期後遺障害の継続はたとえ軽微であってもQOLの低下を引き起こすばかりでなく,患者の術後生活に大きな影響を与える.そこで具体的な術後障害を提示し,術後障害軽減あるいは改善に向けた術前・術中・術後対策についてその科学的な根拠あるいは,実際の術後成績を提示,推奨する内容を紹介していただきたい. |
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解剖学に則った直腸癌手術の在り方 直腸癌手術において,total mesorectal excision (TME)をはじめとする神経温存手技が広く普及し,温存すべき神経と直腸周囲の筋膜構成の位置関係への充分な知識とその操作性への注意が喚起されている.一方,神経や血管の走行などに比べて,直腸周囲の筋膜構成を詳細に記した手術手技習得に有効な解剖書は少ない.一定の頻度で発生する術後神経障害に対して,さらなる解剖の理解と手術手技の工夫が要求されている.誤った解剖への理解は,術中・術後の合併症につながるだけでなく,癌の根治性を損なうおそれもある.ここでは温存すべき神経とともにそれらを取り囲む直腸周囲の筋膜構成に重点をおいて,直腸癌手術の在り方について特定の操作に焦点を当てその手技を提示していただきたい. |
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06-1 最新の消化器癌補助療法 肝胆膵 06-2 最新の消化器癌補助療法 消化管 進行・再発消化器癌の治療成績向上には,補助療法の併用による集学的治療の導入が欠かせない.放射線治療,化学療法においては新たな方法論が唱えられ,とくに後者においては新規薬剤の開発・導入により治療の選択肢は拡大している.また,新たな可能性を見出すことができることとして,分子標的治療の開発・研究が急峻な加速度を上げて提案されている.こうした最新の補助療法,そして実践している臨床研究について紹介をしていだき,今後の臨床に有用となる補助療法について示唆していただけることを期待したい. |
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胆嚢癌のStage別標準術式:その手技を考える 胆嚢癌は,膵癌に次ぐ難治性消化器癌である.しかし,その進展程度と腫瘍細胞の腫瘍学的特徴によっては,切除により長期生存が可能となる.切除術式の標準化はいまだ成されていないが,早期癌では胆嚢摘出のみで根治可能であるのに対し,進行癌では何らかの肝切除とリンパ節郭清か必要とのコンセンサスがある.本パネルディスカッションでは,腹腔鏡下胆嚢摘出術を含め小範囲切除術式はどこまで許容されるか,進行癌に対する系統リンパ節郭清とは,どの程度,どのように行うべきか,胆管・膵頭部・肝の広範囲切除はどのような症例で意義があるのか,などにつき議論をしていただきたい. |
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08-1 消化器癌における緩和医療:外科医のかかわり 08-2 消化器癌における緩和医療:外科医のかかわり 緩和ケアは,癌と診断された初期からあらゆる過程において適応されるべきとWHOは述べているが,わが国の臨床現場においてはその概念について充分な浸透が成されているとはいえない.緩和ケアの大部分はがん性疼痛対策で,そこには臨床腫瘍学の知識のみならず身体的症状,心理的症状,患者を取りまく社会的側面,など全人的な把握が必要とされている.一方,消化器外科医は,がんの進行から生じる消化管出血や狭窄症状に対してらかの手術治療を担うことも要求されているが,対応困難な例もあり,時に悲惨なこともある.多くの具体的な問題点の解決への手がかりについて,外科医の立場から緩和ケア上の外科治療の適応および外科医の緩和ケアにおける関わりについて論じていただきたい. |
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こうする、こうしてほしい消化器外科領域の教育体制 −食道・胃− 日本消化器外科学会が公示している消化器外科専門医修練カリキュラムでは,専門医養成のための到達目標を基礎的知識,診療技術,手術技術に関し詳細に定めている.その中心的存在はもちろん手術技術である.食道・胃領域の手術では,各種消化器手術のなかでも最も多彩な術後愁訴を経験する.外科治療の個別化が要求される今日,術後QOLの維持・向上を図るためには「定型」から「拡大」まで,さらには鏡視下手術手技についてもっかりと身につける必要がある.加えて,内視鏡治療,補助療法,栄養管理などの治療法選択肢の多様化とともに十分なインフォームドコンセントが要求されている.どこまで教育をでき,どこまで教育されうるのか,施設によってその現は異なるものと思われる.指導する立場,指導される立場から手術指導の現状を報告いただき,今後の在り方について,要望・理念を明確にしていただくべく討論していただきたい. |
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こうする、こうしてほしい消化器外科領域の教育体制 −大腸・肛門− 日本消化器外科学会が公示している消化器外科専門医修練カリキュラムでは,専門医養成のための到達目標を基礎的知識,診療技術,手術技術に関し詳細に定めている,中心的存在はもちろん手術技術についてである.大腸・肛門領域では,手術および術前,術後の管理に加えて,化学療法,内視鏡検査,治療など修得すべき診療内容は多岐に渡る.また,肛門疾患を診療の対象とすることは外科以外では,ほとんどない.当該領域では腹腔鏡手術,化学療法,内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)など,専門性を求められる診療が増えている.消化器外科専門医育成のために,どこまで教育でき,どこまで教育されうるのか,その在り方については施設間で異なるものと思われる.導する立場,指導される立場から手術指導の現状を報告いただき,今後の在り方について,要望・理念を明確にしていただくべく討論していただきたい. |
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