第33回日本高次脳機能障害学会

ご挨拶

第33回日本高次脳機能障害学会学術総会
会長 石合 純夫
(札幌医科大学医学部リハビリテーション医学 教授)
日本高次脳機能障害学会会員の皆様におかれましては,益々ご健勝のことと存じます.さて,第33回 日本高次脳機能障害学会学術総会は,平成21年10月29日(木)・30(金),札幌市中心部にほど近いロイトン札幌を会場として開催する準備を進めております.
 高次脳機能はヒトの脳の働きそのものであり,その障害も多岐,多様にわたり,高い水準のリハビリテーションや社会的対応が求められています.本学会学術集会の演題数はここ数年で急増し,参加者の分野や職種も大きく幅が広がってきました.第33回学術総会では,演題発表,企画プログラムが皆様の活発な討論の中,スムーズに進行できるように準備を進めてまいります.
 さて,今回は,テーマを「古典症候の解体から新たな介入に向けて」とさせていただきました.高次脳機能障害には,人名を冠したり,様々な歴史的経緯を含蓄したりする症候名が多く用いられています.これらは,偉大な先人達の業績を反映しており,今日でも色褪せることがなく,重要な示唆を我々に与え続けています.しかし,症状がそっくりなケースというのは稀であり,症候名は大まかにグループ分けする道具とも言えます.画像診断が進歩し,検査法の意義付けも進んできた今日において,古典症候を解体して構成要素を見極め,病巣や脳の働きとの対応を追及することが重要と考えました.その上で,伝統のある症候名がなぜ重要であるのかを考え直したいと思います.一方,治療的介入に関して言えば,症候名が新しい治療法の選択に直接つながることは少なく,構成要素ごとの対応の方が重要といえます.さらに,感覚入力,運動出力という一見すると低次にみえる基本的脳機能は,まさに高次脳機能の土台であり,高次⇔低次という相互関係があって初めて脳機能が発揮されます.新たな介入をどこに向ければよいか?−従来の枠にとらわれずに,有効な改善方法を探っていければと思います.
 企画プログラム等については,本学会の機関誌「高次脳機能研究」3月号にご案内を掲載する予定です.
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